この書簡集には、マルセル・プルーストと、
彼がこの世で最も愛した人、母との間で交わされた手紙149通が収録されている。
最初のものを書いたマルセル16歳の時から、母との永遠の別れを迎える34歳までの、
手に入れることのできた全てである。
これらの手紙は、知的人間形成の重要な時期におけるプルーストの内面生活の深いところまで、
われわれを導くものであり、彼が成長していった環境を日一日と十分に物語ってくれる、
修正なしのポートレートであると言えよう。
プルースト文学の糧となった母との交信の全容を知ることができるのは本書だけであり、
『失われた時を求めて』などの作品の背景を理解する上で必携の一冊である。