『東方綺譚』はユルスナール女史の極めて才気に満ちた風変りな短篇集である。私はその中で「源氏の君の最後の恋」という一篇に出会った。それは『源氏物語』のなかで表題だけあって、内容が一行もない例の奇妙な「雲隠」の巻の奇想溢れる偽作なのである。ジードの弟子にふさわしい、そしてまた、トーマス・マンの推量する古典的な雅致のある彼女の文体は、つとにその代表作『ハドリアヌス帝の回想』の美しい訳によって知られる多田智満子さんの筆を通して見事な日本語となって甦った。――中村真一郎(帯より)
状態: 並〜並下 帯にスレ・汚れ・少ヤケ・小傷。箱に少汚れ・傷・ヤケ。
出版社: 白水社
著者: ユルスナール
翻訳者: 多田智満子
発行年: 1980年 2刷
定価: 1600円
サイズ: 14.0×20.1×2.0cm
ページ数: 204ページ